空の中

空の中 (角川文庫)

空の中 (角川文庫)

読み始め

「オレ、この小説が良かったら『“ラノベ”と“小説”の垣根はもはやない』って日記書くんだ…」って思いながら読み始めました。

読了後

読了した結果、同じラノベ出身の乙一桜庭一樹とはかなり差があるように感じました。なので、↑の考えは保留。

登場人物のキャラク

2次元系のステレオタイプの域を出ていないと思いました。ある種の「フォーマット」を理解した上でないと楽しめない感じ。これは「小説」しか読まない人にとっては致命的だと思います。私も最後までなじめず、感情移入できず。これがアニメ、もしくはいかにもラノベな表紙で出していたらまた違った結果だと思います。

文章力

地の文が誰の視点なのかハッキリせず、ころころ変わるので読みにくかったです。日本語自体も微妙にヘンなところがチラホラ。
文章自体は面白いので、章ごとに主人公を入れ替えて、一人称で書くと良いのではないかと思いました。
ミニタリ系はオタクっぽい知識満載なのに対して、生物学系のアプローチが弱すぎ。SFやファンタジーは、謎は良くわからないまま押し切るか、詳細に書ききるかのどちらかでないとリアリティがない。中途半端でした。

まとめ

って悪いことばっかりいろいろ書いてますが、この小説は面白いんです。着想も展開も良いんです。だからもったいない。筆者の追い求める「大人の読めるラノベ」までもうちょっとな感じがします。私は安部公房が大好きで、SFだって文学になると思っているクチなので、こういう作品を情熱を持って書ける方は応援します*1。頑張って欲しいです。

*1:買って読んで宣伝するくらいしかできないけど。